2018.02.03

story2.シンプルな構造、まとまりのあるプロポーション

――この展示場は外で見るよりも、中に入ったほうが広く感じますね。
この感じはどこから来るのでしょう?

内田 構造そのものがシンプルだからでしょう。図面の線もシンプルです。
お客さまに初回の図面をお見せするとき、複雑な間取りや段差などで設計的に変化を付けると、そこが目立つのでお客さま受けする、というフック的なテクニックがあります。でも、BATON HOUSEでお見せする図面は、いたってシンプルです。
シンプルな構造であるということは、最も安定性がある立方体に近づいていくこと。お家全体のプロポーションがすっきりまとまってデザイン性が高まるといった外観イメージはもちろんですが、シンプルで安定した構造なら耐震性が高まりますし、建築コストも抑えられることになります。
屋根の組み方にしても、間取りにしても、奇をてらわず、複雑にしないことで、居心地の良さが生まれるとともに、ここでもコストを抑えることができます。

――シンプルなんだけれど、居心地のよさを感じます。必要なものだけに終わらない、プラスのゆとりというか。

内田 たとえば、リビングダイニングの窓は一般的に床までの掃き出し窓にして、明るさと開放感を優先します。でも、この展示場では、あえて全部を広い窓にせず、キッチンの横だけを掃き出し窓にして、リビング側は、誰でも、ふっと腰掛けられるようなスペースを提案しています。
この腰掛けの素材は床板なんですが、隣り合う板との間にできるV字型の溝を、表面を数ミリ削り取ることで消して、フラットにしています。

――床面との違いは何だろうと思ったら、そこなんですね。肌触りが優しくなる工夫です。

――BATON HOUSEには32通りのプランがありますが、ローカルの工務店としては多いですよね。

片岡 そうですね。BATON HOUSEの各プランは、1年ほど時間をかけて、じっくり構成しました。きっと、お客さまの条件や好みに合うデザインがあると思います。
BATON DESIGN WORKSのチームには4人のプランナーがいるのですが、常に4人が参加して検討しながら、一つずつ細部まで決めていったんです。プランそのものは皆で出し合って、少しずつ固めていきました。



BATON DESIGN WORKS

――どんな空間が表現されているのでしょう。

片岡 ただ広い部屋や空間を、ご要望どおりに作るという、これまでの設計方法を見直し、BATON HOUSEでは、お家のたたずまいとなるプロポーションを重視しました。
具体的には、天井の高さやプロポーションをあらかじめ決めています。
たとえば、BATON HOUSEの標準天井高は2.2mです。一般的には2.4から2.5m、高くて2.7mにもなりますが、私たちは、木造の在来工法で2.5m取ってしまうと、バランスが崩れてくると考えています。弊社の設計でも2.5mからスタートしているものの、やはり背の高い建物はやはりバランスが悪くてプロポーションが崩れるので、思い切りました。
とはいえ、お客さまは天井の高さがないと圧迫感を感じる方が多いので、この展示場では2.2mで設定しておいて、吹き抜けを設けています。こうした天井高の設定では、吹き抜けは外せない要素になりますね。


リビングと2階を繋ぐ吹き抜け。空間が繋がり、家族の繋がりも深くなる。

内田 展示場を見ていただいて、ベーシックでシンプルな形でも、ここまでの空間表現ができることをお伝えしたいですね。
BATON DESIGN WORKSのご提案するイメージカラーは、グレー、白、黒といったモノトーンです。決して派手ではないけれど、シンプルでベーシックなものには安定性があります。それを、素材と作り方、ディテール、インテリアによって、シンプルな建物に命を吹き込んでいけます。
実はシンプルって一番難しいですが、ここを見てくださる方に、「いいですね、ここのところ」って言っていただけるのが楽しみでもあります。

――ありがとうございました。お話を聞いて、BATON HOUSEの骨組みが見えてきたようです。次回は、気になる間取りや収納についてお聞きします。

(つづく)


BATON HOUSEの展示場には、いつも、私たち設計士がいます。
BATON HOUSE
高知市介良乙3030-4
営業時間 10:00〜17:00
定休日 毎週水曜日

-フクヤ建設では、新卒・既卒問わず、一緒に働く仲間を募集しています。まずはお気軽にお問合わせください。-